Note

印象的な接客の話

日常の延長ではない、1歩先へのジャンプ

受注会で店頭に立っていると、それぞれのお店の方々の接客は勉強になる。
自分は営業が苦手だ。典型的な、売る=売り込むと感じてしまって苦手になる営業初心者。
だから作る仕事についたのに、ブランドやるって、自分で営業するってことやないかい。と何度思って何度嫌になったか。

とはいえ、受注会で見に来ていただくお客さん方への接客は、本来そこまで難しくないはず。
好意的な姿勢で来ていただくお客さんにありのままを話せばいいだけ。
「値打ちこかんといて。」という自分の中の関西人が見え隠れしながら、ありのまま起きたことだけを話すぜと、作るときに考えていることなどを話す。

ここまでは難しくない。話すのは大好きだからね。
そんな状況で、いつも困る場面がある。
お客さんが2択で悩んでしまったとき。
どっちが良いと思いますか?と言われてしまったとき。
ここのヒアリング力というかコンサルティング力というかスタイリング力というか、接客力がない。

先週末にLoftman B.D.の店頭に立っていた時の話。
お店の常連さんが、Mil-Bootsと新型のSide Zip Bootsで悩まれた。
どちらが良いか。

いつもはほとんどスニーカーばかりだという。
そんな方にもオススメしたいと、スタッフさんがイベントにお声がけして来ていただいた。

スタッフTさんと私のモノに対する見解は一致していた。
Mil-Boots→カッコ良さはあるが、ほどよくカジュアルで、お手持ちの服にも馴染みやすい。
Side Zip Boots→とびきりエレガントで、カッコイイ。エレガントだけど、尖りすぎてはいない。
価格も同じ。

私はその常連さんの普段のスタイリングを聞いた上で、Mil-Bootsの方が、日常の延長にあって使いやすいだろうとオススメした。
Tさんは真逆。

「〇〇さんがMil-Boots履いてるイメージはつきます。でも、僕がお誘いしたのは、もう一歩先行ってほしいからなんです。」
「これまでスニーカーもたくさん提案させてもらったんですけど、ブーツ履く時って、ちょっとカッコつけたい時だと思います。
だとしたら、普段のスニーカー姿からできるだけ離した格好をオススメしたいです。」

最後にどちらを選んだかは明白で、私も店頭で接客されたら後者を選ぶ。

Loftmanチームは特に店頭で買う意味、店頭で売る価値を追求するチームだ。
Loftmanは、京都寺町商店街で50年続く服屋だ。正真正銘、「商店街の服屋」の価値を追求し続けている。
生半可ではない。
それは他のお取扱店の方々もそう。オーナーバイヤーの方ばかりだから、尚更だ。

私は接客するときに、お客さんがどうなりたいかを聞き出したり、お客さんにどうあってほしいかの会話ができていない。

その提案はできていないのか?
自分はデザインでそれをやっている。
「半年後、1年後にこうありたい」という姿を目にみえる形で提案している。靴にした時点でそれは終わっている。
というわけで、私はこの先も一歩先の接客はできないだろう。

私はありのまましか話せないだろうけど、バイマイセルフで自分にとっての“半歩先”を想像してみてください。
PosProの靴は「こうありたい」を肯定しています。

そして、取扱店に行ってみてください。みんな、良い人です。半歩先を想像するお手伝いをしてくれますよ。