Note

引っ越しとルーティーン作り

日記の更新は難しい。もはや半年に1回しか更新しなくなっているし、毎回この言い訳から始まっている。
忙しいこともあるがそれ以上に、「書いて人様に知らしめるようなことがない毎日を送っているから。」というのが最新の言い訳だ。
書いては消し、書いては消し、今更新するのは来週の展示会に向けてのことで、いつものことながらバイヤーさん方とゆっくり話せないので、コレクションの欠片でも散りばめておこうという意図だ。

かねてから革靴の生産拠点である浅草に事務所を移転して電車で通勤するようになり、手持ちの服では寒いと思ったりとか、鞄を持つようになった。家で仕事をしていた時よりも必要な服は増え、「今年は寒い」と事あるごとに言っている。夏は夏で暑すぎてすっかりへばってしまっていた。早く帰ると満員電車で帰ることになるのも嫌だ。遅く来て遅く帰ると疲れが溜まって仕方がない。通勤に関するあれやこれやを試す半年だった。服装に関しては日頃革埃にまみれることを前提としたケの服装に対して、日曜日のハレの服をより意識するようになった。以前まで利用していた路線はエキセントリックな服装の人や他所行きの服装だなという人がどの時間帯でも一定数いたが、現在利用している路線はおとなしめだ。そんな車両の中で人目を集めてドギマギしながら通勤する余裕はない。

週6日、仕事的に違うニュアンスのトラブルは起きるものの、ほぼ同じルーティンで生活している。起きる時間寝る時間、食べるものもほぼ固定されてきた。やはり自分はエキセントリックな人間ではないと再確認する日々。仕事のほとんどが生産管理に追われている状況においてはまさにそう。靴のデザイナーという一見するとエキセントリックな職業名は影を潜めて、日常は地味なものだ。「“真人間がやっている靴ブランド”」と紹介するのも楽かもしれない。真人間が真人間を応援している気持ちはたしかにある。

このルーティン化=土台を作ることこそ2025年を通じて1番手をつけなければいけないしやりたかったことだった。死ぬまで続ける仕事として「続けられること」を前提に日常を作っていく必要がある。完成された会社の会社員でない以上は、繰り返して繰り返して形を成していくしかない。そこが2024年までは揺らぎながらやっていた感覚があり、その揺らぎが面白さを生んでいた部分もあるかもしれないが、やはり薄氷の上を歩いている危うさが常にあった。そもそもきちんと靴メーカーで生産管理の経験を積んで独立したわけではないから仕事の型もないまま来ていたのでなおさらだ。

「ルーティンになる」ことは刺激から遠ざかることではあるが、「ルーティンにする」ことは労力がかかる。それに、ノン刺激と思いきやこの生活自体が今までと違うので良い刺激になった。プロダクトを作るというのは何気ない日常に種があるものだし、プロダクトに説得力を与えるのは自分の生活観なのだから今ここからしか生まれないものがある。今回の27AWコレクションはそういう日常を背景として生まれている。